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  • 青木敏朗

人間は必ず変われる

更新日:2019年10月9日



 これまで何度も繰り返し語ってきたことではありますが、人間の持てる能力には大変な潜在的余力があるものだとつくづく思います。先日、第2回全統マーク模試の結果が返却されたのですが、それを見て、今回、その思いを新たにしました。


 今から1年数ヶ月前ことですが、1人の三重高生(当時、高1生)が私どもの塾に面接にやってきました。彼の名前を仮にC君としましょう。


 中途入塾者には、面接時にそれまで受けた定期テストや模試の成績等を持ってきてもらうことになっているのですが、正直、C君の成績は本当に酷いものでした。でも、酷い成績だけなら、程度の差こそあれ、多くの塾生が最初はそうですから、別に驚きもしません。実は、問題は他にあったのです。


 面接時、色々こちらから語りかけても、まともな返事1つ返ってこず、おまけに何だか斜に構えたような態度で、さすがにこちらもカチンときて、「自分のことを人ごとだと思って、真面目に考えられないのなら、うちの塾では預かれないよ。本当にうちの塾で勉強する気があるのかどうか、もう一度、よく考え直しておいで」と言って、そうそうに引き上げてもらいました。当時の言葉を一字一句正確に覚えているわけではありませんが、C君との最初の出会いは、大体こんな調子だったのです。


 下にあるのは、入塾数ヶ月後、高2になってすぐの頃に行われた宿題テストの結果ですが、一般的に考えれば、これがいかに大変な状態であるかは、どなたでもすぐにお分かりになると思います。(※勿論、各教科それぞれ100点満点のテストです。お間違いなく。)




 でも、問題はテストの点ではありません。点数なんて、その後の学習次第で何とでもなるものなのです。実際、過去には同様な成績から全国模試で全国トップになった卒業生もいるくらいですから...。


 何が一番の問題かと言うと、それは彼の心の状態だったのです。人間は強い劣等感に囚われていると、物事に対する関心や意欲が失われてしまいます。(面接時、彼のとった態度は、そのせいだったかも知れません。)一度、その状態に陥ってしまうと、そこから抜けだし、回復するのは並大抵なことではありません。


 その後、ことある毎にC君を別室に呼んで「自分のことをダメな人間だと思う人間は伸びることは出来ないよ。点数がどうあれ、自分の能力を信じることが大切なんだよ」といったことを何度も伝え、励まし続けてきましたが、高2生の頃までは、上記のような状態がずっと続いていました。


 状況が好転し始めたのは高3になってからのことだと思います。表情にも随分と変化が出て、時折、笑みがこぼれることも珍しくなくなりました。更にそれから数ヶ月経ったとき、変化は突然現れました。何と第2回全統マーク模試において、200点満点中156点を取り、強豪がひしめく今年の三重高3年生の中で、数学の2科目総合の学年順位が31番になったのです。31番というのは、トップ35の生徒達の一部を脅かすような好成績です。(※彼は選抜クラスの生徒です。)


 今回の躍進は、今後の彼の人生を変える転機となったのではないか、私は内心そう思っています。特に数学ⅠAの成績は、同模試の現役受験者全員の上位5パーセント未満に入るほどの好成績で、同世代の高校生の中でも圧倒的に高い実力を備えている言えます。もはやかつての劣等生時代の彼とは全く別人になったと言っても言い過ぎではないほどです。


 まだ入試の行方が最終的にどうなるかは分かりませんが、十代の最大の課題、つまり「僕は、やれば出来るんだ」と、自分の能力を信じることが出来るようになるという課題は十分にクリア出来たと、私は考えています。


 C君、あとわずかだけど、全力で受験に立ち向かうんだよ。先生は最後まで君をしっかり見守っているからね。

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