top of page
映像授業 のコピー.jpg

 私どもの塾では、授業中、1つの説明が終わるたびに「分かるかい?」と生徒一人一人に確認するのが通例になっているのですが、たとえ「分かる」と返事が返ってきたとしても、それをそのまま鵜呑みにするわけにはいきません。同じ「分かる」という返事でも、生徒ごとに「分かる」のレベルは実に様々だし、そもそもこちらの意図とは全く異なる受け取り方をしていることも希ではないのです。本当に分かっているのか余りに疑わしいときには、その生徒を前に呼んで黒板を使って説明をさせるのですが、全く言葉が出てこないことも珍しくありません。上のタイトルにもあるように、子供たちの「分かった」はほとんど当てにならないといっても過言ではないのです。

 コロナが猛威を振るっていた頃、1年近くに渡ってオンライン授業を実施したのですが、その後、対面授業に戻したとき、子供達が既習事項を全く理解していないことが分かって愕然としたことがあります。オンライン授業は一方的な映像授業に比べれば、生徒と教師のやりとりがある分、まだマシなはずなのですが、それでこの有様ですから、一方的な映像授業で子供達が学習内容をきちんと理解できるとは到底信じられません

 青木塾では、YouTube上に独自のチャンネルを設けて、数学を一般向けに教える動画を配信しているのですが、いつも悩むのは対象とする視聴者の学力水準をどのレベルに置くかということです。実際の子供達を相手に対面授業を行うと、その理解度は全くバラバラで、それぞれに応じた説明を工夫して行わないと、きちんと理解させることは不可能です。高3であっても高1の学力がない子もいるし、高1であっても普通の高2や高3の子達を超える学力を持った子もいます。ですから、私どもの塾では、もう何年も前から単純に年齢別にクラス分けをせず、能力に応じてクラスの所属を決めているくらいです。

 効果的な授業を行うには、まずその大前提として個々の子供達の理解度をきちんと把握することが絶対条件です。教師の仕事とは、単に教壇の前に立って授業を行うだけではありません。子供をよく観察し、その子が理解できる言葉で丁寧に説明することが出来なければ教師の仕事は勤まりません。そこに映像授業の限界があると、私は考えます。 

​ 

bottom of page